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自分らしくあるために
Be Yourself: Questions and Answers
for Gay, Lesbian and Bisexual Youth
はじめに
思春期の少年・少女の皆さんにはこの世の中が辛い場所と思われるかもしれません。あなたは今、人生において最も困惑する時期のひとつを過ごしているのです。
まず例を挙げると、あなたの体にはこの時期、劇的な変化が起こります。体に変化を及ぼすホルモンは、あなたの心理状態にまで影響を与えるかもしれません。明確な理由もなく、ある日あなたは自分が偉大な存在だと高揚し、次の日には惨めな存在だと落胆するかもしれません。
社会的な決まりごとにも変化は訪れるでしょう。ボランティアやアルバイトといった責任を伴うことをあなたは新たに始めるかもしれません。その一方で大人と同等の権利を享受することができないこともあります。門限はその例です。
両親との関係も変わりつつあるでしょう。あなたはより自立するようになり、両親はもはやあなたが幼い子供ではないことを受け入れなければなりません。それは両親にも、あなたにも簡単なことではありません。
2,3年前までは考えもしなかったこと、つまりセックスが、この世の中で最も重要なことだと突然感じるかもしれません。
もしあなたがゲイ、レズビアン、バイセクシュアルであるならば、或いは同性愛者であるかもしれないと考えたり、同性愛者ではないかと自問しているならば、あなたはさらに困惑するでしょう。なぜならば、恐らく誰もそのようなことを考える心構えをあなたに求めなかったからです。
かつて両親や親戚が、あなたを-あなたが男の子なら女の子との恋愛について、あなたが女の子なら男の子との恋愛について-冷やかしたことがあるかもしれません。もしかすると両親や親戚の人達は「お前が大きくなってお付き合いを始めるようになる頃」とか「恋に落ちて結婚する時」といった具合に言ったことでしょう。決して両親や親戚は、あなたが大人になり同性と恋に落ちることや結婚することについては話さなかったと思います。
テレビや映画、雑誌に登場するほとんどすべてが、対(つい…ふたつから成る一組)としての男女です。あなたが聞く音楽も異性と恋に落ちたことについてのものです。あなたが男の子ならば、友人は恐らく女の子のことについて話しているでしょう。あなたが女の子ならば、友人は男の子のことについて話しているでしょう。
もしあなたが同性愛者ならば、それらのすべてはあなたにとって辛いものになります。なぜなら、あなた自身に関係するものは多くはないからです。
このパンフレットはいくつかの意図を持って作られました。まず、あなたを助けたいこと、あなたのいくつかの質問に答えること、本を紹介すること、あなたの相談にのれる人達を教えること、そして以下の三つのことを理解して欲しいことです。
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ゲイ/レズビアン/バイセクシュアルであることは正常で健全なことです。それは身長の高低や、黒人・白人・アジア人・ラテンアメリカ人といった具合に、あなたの属性の中のひとつの要素なのです。
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自分自身が何者であるのかを知るには時間がかかります。混乱して当たり前なのです。自分自身が同性愛者なのか、それとも異性愛者なのかどうかをはっきりと認識できなくてもいいのです。認識するまでには時間がかかってもいいのです。急ぐ必要はありません。
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あなたはひとりではありません。今、この瞬間にも、自分自身が同性愛者であると考えている、或いは同性愛者ではないのかと自問している何万もの思春期の少年・少女達がいるのです。彼ら/彼女らは皆、自分一人だけが同性愛者だと思い、この思いを伝えられる人を求めているのです。そして、極めて多くの人達がこの道を既に歩んできたのです。
もしあなたがこのパンフレットの最後に載っている電話番号に電話をかけると、仲間やあなたを助けてくれる人達が電話の向こうにいるでしょう。きっとあなたは心を開いて話せ、情報を交換し、助言を求めることができるはずです。
このパンフレットは、同性愛についての少年・少女達の質問を参考にして作られました。このパンフレットが、あなた自身が自らの答えを導く助けになることを願っています。
このパンフレットで用いられている用語の解説
異性愛者(ヘテロセクシュアル)またはストレートとは、大抵の場合、性的魅力や心理・精神的魅力が異性に向かう人々を指します。具体的には、女性に魅力を感じる男性や、男性に魅力を感じる女性のことです。
ホモセクシュアル(ゲイ)とは、大抵の場合、性的魅力や心理・精神的魅力が同性に向かう人々を指します。具体的には、男性に魅力を感じる男性や、女性に魅力を感じる女性のことです。
レズビアンとは、女性同性愛者のみを指します。
バイセクシュアル(両性愛者)とは、性的魅力や心理・精神的魅力が異性・同性の両方に向かう人々を指します。
このパンフレットでは、ゲイ (gay) という用語は男女両方のホモセクシュアル、男女両方のバイセクシュアルを含めて使うことにします。
(参考)
もともと、ホモセクシュアル/ゲイという用語は広義では、男性同性愛者と女性同性愛者の両方を指し、狭義では男性同性愛者のみを指します。実際の使用法では狭義のほうが優勢だと思われます。
また、このパンフレットでは、ゲイという用語を男女両方のホモセクシュアルと男女両方のバイセクシュアルを指すというかなり変則的な使い方をしています。それは、バイセクシュアルの人がもつ同性指向に着目した使い方だと思われます。そうは言いつつも、実際には「ゲイ」という用語を「男性同性愛者」という意味でのみ使っているところがかなりあります。
「ホモセクシュアル」「ゲイ」の訳語は「同性愛者」であり、またこのパンフレットでの「ゲイ」という用語の変則的な使用法、そして他のコンテンツも含めたこのサイト全体での訳語の整合性を維持するため、次のように訳語とその対象を決定します。
ゲイ…男性同性愛者のみを指す。
レズビアン…女性同性愛者のみを指す。
同性愛者…男性同性愛者と女性同性愛者の両方。及び、このパンフレットにおいてのみ、男性バイセクシュアルと女性バイセクシュアルも含めることにします。
また[they]を「彼ら/彼女ら」と訳していますが、「彼女ら・彼ら」と訳してもいいはずです。
私は同性愛者かもしれないと思う時があります。はっきりとはわからないのですが、どうすればいいでしょうか。
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いずれはわかることでしょう。しばらく時間がかかるかもしれませんが、急ぐ必要は全くありません。
同性愛者の中には、かなり幼い時から(場合によってはたったの5、6歳の時から)「自分は違う」と感じ始めた人もいます。彼ら/彼女らは、小学校の恋愛を友人が夢中になって話すことを分かち合うこともありませんでした。その代わりに彼ら/彼女らは恋愛対象として同性の友人に夢中になり、そのことを話すこともなかったようです。
しばしば、彼ら/彼女らは言います。自分の気持ちがどういうものなのかを知る(つまりは自分自身がゲイ、レズビアン、バイセクシュアルだと自覚し始める)までにはしばらくの時間を要した、と。ゲイ、レズビアン、バイセクシュアルという言葉で自分の気持ちを考え始めると、納得できたのです。心の中で育まれていたその気持ちと言葉が一本の線で結ばれたのです。
しかしながら、他の多くの人々の場合、思春期、時には大人に至って初めて、自分自身の性的指向を理解し始めるのです。混乱するのは無理もないことです。
程度の差こそあれ、ほとんどすべての人が、例えば素晴らしい教師や友人の兄や姉といった具合に、同性の人に対して夢中になることがあります。ほとんどの人のベストフレンドは同性です。だからといって、それが「あなたは同性愛者です」と意味しているわけではありません。
同性と1,2回性交渉を持った体験があるからといって、あなた自身が同性愛者であるとは言えないのです。同様に、異性と1,2回性交渉を持った体験があるからといって、あなた自身が異性愛者であるとも言えないのです。多くの同性愛者が異性との性交渉の体験があり、同様に、多くの異性愛者も同性との性交渉の体験があるのです。
これは重要なことですが、あなた自身に性交渉の体験が全くなくてもいいのです。性交渉に消極的でもいいのです。そのようであっても、あなたが同性愛者だと自覚することはできるのです。あなたの気持ちや肉体的かつ心理的欲求が、あなた自身の性的指向を認識する助けになるでしょう。
私たちのセクシュアリティーは刻一刻と発達しているのです。自分のセクシュアリティーをよくわからなくても心配することはありません。思春期とは、何があなたに影響を及ぼすのかを理解する時期なのです。恋愛に夢中になることや、様々な体験もあなたに影響を与える一部なのです。次第に、あなたは男性、或いは女性、または両性に引き付けられているのを実感するでしょう。その時に、自分の性的指向を知るのです。今、この瞬間に自分自身を(ゲイ、レズビアン…だと)分類する必要はないのです。
もしあなたがゲイ、或いはレズビアン、バイセクシュアルだと考えているのならば、自分自身を恐れないでください。そして、自分の気持ちを否定したり抑圧しないでください。恐れや否定・抑圧は、あなたの性的アイデンティティー(性自認)の形成を妨げ、あなた自身の自我の形成をも妨げるのです。
今まで他の同性愛者を見たことも聞いたこともありません。私だけが同性愛者なのですか。
いいえ、あなただけではありません。
世界で最も知名度の高い性研究者のアルフレッド・キンゼイ博士の研究によると、完全な異性愛者も完全な同性愛者もほとんどいないことがわかっています。多くの人々が同性に魅力を感じたことがあり、同性と或いは男女両性との性交渉の体験があることをキンゼイ博士は突き止めました。
定規を想像してみてください。それは性的指向を示す定規です。一方の端は、同性だけに魅力を感じる人々を示します。もう一方の端は異性だけに魅力を感じる人々を示します。そしてその間は、男性・女性の両方に魅力を感じる人々がいるのです。
ですから、あなたがその定規のどこにいようと、あなたと同じような人(仲間)はたくさんいるのです。10人に1人は同性愛者だとする推測もあります。
同性愛者はあなたの周りにもいるのです。身の回りに同性愛者がいることを知らない場合が多いだけなのです。白人にも黒人にもアジア系にもヒスパニック系にも原住民(=インディアン)にも同性愛者はいるのです。ユダヤ教徒にもカトリック教徒にもプロテスタント教徒にも仏教徒にも同性愛者はいるのです。高齢者にも若者にも、富める者にも貧しき者にも同性愛者はいるのです。医師、看護婦、建設作業員、教師、学生、秘書、大臣、聖職者、店員、機械工、ビジネスマン(ビジネスウーマン)、警察官、政治家、スポーツ選手にも同性愛者はいるのです。
思春期の頃、ほとんどの同性愛者はあなたと同じ思いをしたのです。もし自分自身が孤独だと感じたならば、あなたに思い出して欲しいことがあるのです。歌手のk.d.lang.も同じ思いをしたのです。エルトン・ジョンも、テニスのスター選手マルチナ・ナブラチロワも、ゲリー・スダッズ議員もそうだったのです。そして、他の何百万の人達もそうだったのです。
同性愛は正常ですか。
正常です。同性愛者であることは異性愛者であることと同様に自然で、正常で健全なのです。どのように性的指向(異性愛、同性愛)が決定されるのかは正確には誰にもわからないのです。性的指向は遺伝的特徴、生物学的特徴そして環境と関連していると多くの専門家は考えています。それは、人間の性的指向は先天的、或いは2,3歳までには形成されうることを意味しています。
ボストン大学医学部のリチャード・ピラード博士は「動物を徹底的に研究すると、事実上すべての種の動物に同性愛が存在することがわかる」と指摘しています。同性愛とは異性愛と同様、生物の性質の一部分であるのです。
他の人が何を言おうが、同性愛は異性愛と同様に、自然で健全なのです。アメリカ精神医学会は1973年に同性愛は精神障害でも精神病でもないと宣言しました。アメリカ心理学会は、同性愛者の性的指向を転換させようとする試みは倫理観に反している、という声明を出しました。
科学研究者や心理学者、精神科医に加えて、他の多くの人が今ではそれ(同性愛は異常ではなく正常であること)を知っています。コラムニストであるアン・ランダーズは近頃、次のように書きました。「今のこの時代に、あまりに多くの人々が同性愛とは選択可能な生き方ではない、と理解していないことに、驚かざるをえない。その選択は生まれた時、為されたというのだから」。
(参考)
上のコラムニストの発言の解説。
意訳としては、「今のこの時代に、あまりに多くの人々が同性愛とは選択可能な生き方だと理解している。その理解に驚かざるをえない。その選択は生まれた時、為されたというのだから」となります。
実際には同性愛とは選択可能な生き方ではない。専門家も人間の性的指向は先天的、或いは2,3歳までには形成されるとしている。しかし、多くの人々は同性愛を選択可能な生き方だと思い込んでいる。(←誤ったイメージ)
ここで、逆説的に解説します。
①多くの人々が誤解しているように、仮に同性愛が選択可能な生き方だとする。②性的指向が先天的、或いは2,3歳までには形成されるという専門家の一致した見解がある。
①+②をすると、「同性愛者は、2,3歳までには、自分の意志で、同性愛者として生きることを選択した」ことになります。このことにコラムニストが、「2,3歳までに人間がそんな選択をできるわけがない」と言い、世間一般の同性愛に関する馬鹿げた理解、誤った理解がまかり通っていることに皮肉を込めて批判しているのです。
結局、「今のこの時代に、あまりに多くの人々が同性愛とは選択可能な生き方だと誤解している。全く驚くことだ。もし仮にそうだとするならば、人は、生まれた時、同性愛という生き方を選択したとでも言うのか。そんなわけがない」という意味になります。
もしあなたが「なぜ私は同性愛者なのか」と自問しているならば、その答えはこうなります。青い瞳を持つ人がいるように、茶色い瞳を持つ人もいる。これと同じで、同性愛者もいれば、異性愛者もいるのです。これが答えです。性的指向は選択するとか、しないとか、そういう問題ではないのです。それは、あなたの属性の単なるもうひとつの要素なのです。
同性愛者には特有の行動があると思っていました。もし私がそのような固定観念にあてはまらないとしても、私は同性愛者なのですか。
まず、固定観念を捨ててください。固定観念にあてはまる人もいれば、そうでない人もいます。自分らしさを持ちましょう。
異性愛者もそうですが、同性愛者の行動も多種多様です。無知や偏見が固定観念を育むのです。時として少数の人にその固定観念があてはまる場合もあれば、かなり多くの人にあてはまる場合もあります。しかし、固定観念とは、どんな集団であれ、その集団に属するすべての人にあてはまることは決してないのです。
例えば、同性愛者は女っぽいと耳にするかもしれません。それがどれだけ馬鹿げて事実に反しているかは最近の2,3の例を挙げればわかります。デーブ・コペイ選手はどうでしょう。彼はNFLで10年間もプレーしたのです。オリンピックの水泳の飛び込みで金メダルを獲得したグレッグ・ルーガニス選手はどうでしょう。彼ら二人は同性愛者ですが、他の多くの有名なスポーツ選手と同じです。同性愛者であることを公言している大都市の警察官はどうでしょう。ここ数年で最も勲章を多く受賞した海軍士官の一人であるジョー・ステファンはどうでしょう。元ミスター・ユニバース(ミス・ユニバースの男性版)のボブ・ジャクソン・パリスはどうでしょう。
恐らくあなたはトランスヴェスタイトやトランスセクシュアルについても耳にするでしょう。トランスヴェスタイトとは、異性装(男性の場合は女装、女性の場合は男装)を好む人達です。トランスヴェスタイトのほとんどは異性愛者です。トランスセクシュアルとは、性転換手術を受け、(生まれながらの)性別を変えたいと望み、他の男性或いは女性(つまり、男性の場合、手術後女性として、女性の場合、手術後男性として)と同じように生きたいと望む人達です。同性愛者であることは、すなわちトランスヴェスタイトやトランスセクシュアルになることではありません。トランスヴェスタイトやトランスセクシュアルであることは、同性愛者になることではありません。(トランスジェンダーについてのより詳細な情報は、このパンフレットの情報案内を参照し、そこに載っている団体に問い合わせてみてください。)
(同性愛者の)ステレオタイプに対して、正反対の行動を試みることによって反発する人もいます。自分のセクシュアリティーに確信を持てない男性異性愛者はスーパー・マッチョ(超男らしさ、超男性性)を演じる時があります。同様に、男性同性愛者が同性愛者だと自認したり、疎外されるのを恐れると、彼らもスーパー・マッチョを演じる時があるのです。同じような理由で、とても女性的に振る舞うレズビアンもいます。
あなたは誰にも何も証明する必要がないことを思い出してください。ただ自分らしくあって欲しいのです。
トランスジェンダー
HIV、エイズを心配する必要はあるのですか。
すべての人がHIVやエイズに関しての情報に明るくなければなりません。
あなたが若いというだけでは、エイズの感染からあなたを守れないのです。今日エイズに感染し死期に近づいている20代、30代の多くの人々は思春期の頃、既に感染していたのです。同性愛者だろうが異性愛者だろうが、男性だろうが女性だろうが、黒人だろうが白人だろうが、そんなのは関係ないのです。問題なのはあなたの行為です。その行為がHIVウイルスの感染の危険性があるのかどうかなのです。
エイズはウイルスによる病気です。HIVと名付けられたそのウイルスは、体の免疫体系を破壊します。そうなると人は不治の病や感染伝染病にかかりやすくなります。有効な治療法はなく、エイズの進行を完全に止めるワクチンもありません。
HIVに感染する3つの主な原因があります。①感染者とセイファー・セックスをしない②感染者と麻薬の注射針や注射器を共有する③母子感染
また、HIVウイルスに感染しているか、あるいは感染していないかは外見では判断がつきません。HIVウイルスに感染し、発症するまでに10年間の潜伏期間があります。健康に見える人も、感染している可能性があるのです。
あなたは自分自身を守ることができます。注射針や注射器を共有してはなりません。もしあなたが麻薬を打ったり、使用しているのなら、診療所の専門医の助言を求めてください。セックスを媒介としたHIVウイルスの感染を防ぐ確かな方法は、セックスをしないことです。同性愛者、異性愛者に関係なく、性に関して活動的な人は、自分自身を守るためにも「セイファー・セックス」を習得する必要があります。いくつかのセイファー・セックスの実践では、HIVウイルスの感染防止のためにコンドームや歯科用のゴムシートが使われています。
HIVやエイズ、セイファー・セックスについての詳しい全体像を明らかにすることは、このパンフレットの視野には入っていません。さらに詳しい情報を求めるなら、このパンフレットの情報案内に掲載されている団体や、エイズホットラインに問い合わせてみて下さい。
私は受け入れられるのですか。
あなたを受け入れる人もいれば、拒絶する人もいるでしょう。
アメリカの至る所に、そして世界中に偏見や差別が根づいています。黒人に対する偏見、女性に対する偏見、高齢者に対する偏見など、どの集団に対しても偏見があります。1900年の初期まで、アメリカでは女性は投票することができませんでした。なぜなら、女性は知性において(男性より)劣っていると、社会がみなしていたからです。婦人参政権運動や後の女性運動がこの種の偏見の是正を求めていた一方で、未だに現在でも女性は、職場や街角、政界、家庭において、差別に出くわすのです。偏見を克服し、態度を改めるには時間がかかります。
もしあなたが同性愛者ならば、あなたは偏見にぶつかるでしょう。私たちの社会は異性愛を前提としているのです。家族や学校、宗教、メディアによって、私たちは、すべての人が異性愛者であることを当然のこととして思うように刷り込まれるのです。そして異性愛者ではない人達、すなわち同性愛者を差別するようにしばしば感化されるのです。異性愛を当然視することが変わり始めたのはつい最近のことです。
同性愛者であるあなたを人々が異性愛者だとみなしている間は、あなたが直面する偏見の程度はかなり軽いと言えるかもしれません。もちろん、あなたはその勘違いに決まりの悪い思いをするのですが。
しかし、その状態というのは、はるかにひどい状態なのかもしれません。同性愛者は、ただ単に同性愛者であるというだけで、打ちのめされ、家から勘当され、職場から解雇される危険に直面しているのです。人間はしばしば、自分が理解できないものを恐れ、自分が恐れるものを憎むのです。それが、偏見の源です。同性愛者に対する偏見を同性愛嫌悪(ホモフォビア/homophobia)と呼びます。
しかしながら、その同性愛嫌悪に変化の兆しが見えています。同性愛者であることは、異性愛者であることと同様に正常で健全であることを、より多くの人々が知るようになっているからです。同性愛に対する姿勢が部分的にせよ変わり始めているのです。それは、かつて女性やユダヤ人、黒人がそうであったように、同性愛者が立ち上がり、「私は同性愛者です。私は同性愛者である自分を誇りに思います(I am gay and I am proud)」と表明し始めているからです。それに、同性愛者と伴に立ち上がる人々が現われ、「ここにいる同性愛者達は、私の友人です。私の子供です。私の兄弟(姉妹)です。私は彼ら/彼女らを誇りに思っています」と話しているのです。
とても孤独に感じます。誰に話せばいいのでしょうか。
もしあなたが孤独に感じるのなら、実際、あなたは孤独なのです。孤独である必要はありません。あなたを助けられる人は外にいるのです。
両親が性に関してとても開放的でない限り、ほとんどの思春期の子達は、あらゆる性的な気持ちや性体験(それが異性愛だろうが同性愛だろうが)に罪悪感を感じたり恥ずかしく思ったりすることがあります。性について考えることを苦々しく思う大人もいるので、子供達がそうなるのも無理もないことです。
それに加えて、あなた自身が同性愛者であると認識することも容易なことではありません。社会に存在する偏見のせいで、あなたは自分自身からさえも顔を背けたがります。あなたはそれに気付いているにもかかわらず、顔を背けるのです。ゆえに、あなたは社会から疎外されたと思い、更なる孤独を感じるのです。
最もよいことは、信頼できる話し相手を探すことです。
恐らく、その話し相手とは既にあなたが知っている人達の中にいます。友人、両親、兄弟、姉妹…友人の両親や、友人の兄や姉が候補として考えられます。過去にあなたが信頼して打ち明けた大人や、再び信頼できると思う大人がいいと言えます。
あなたが自分自身に心地よさや幸福感を感じるまでは、あなたを非難しそうな人や反同性愛的考えを持つ人には、話さない方がよいです。あなたは一般的な同性愛の話題を持ち出すことによって、人の反応を確かめられるでしょう。例えば、次のような質問をしてみてください。「同性愛者についてのテレビを見たんだけど、知り合いに同性愛者はいるの?」「同性愛者だと思われている子が、学校でからかわれているんだけど、それっておかしいと思わない?」「同性愛者の子が両親に勘当されたと聞いたんだけど、どうしてそんなことするんだろう?」
しかし、このような質問をする時、その答えは、あなたに対しての個人的なコメントではないことを理解しなくてはなりません。答える人達は、あなたの質問の本当の意図を知らないのです。このような状況では、同性愛者に関しての否定的なコメントが返ってくるかもしれません。しかし、あなたが同性愛者であることに関しての質問には全く違った答えが返ってくる場合があります。
心地よく話せる人や、理解力に富んだ協力的な人があなたにいなければ、このパンフレットに載っているホットラインや団体にまず電話をかけてみてください。思春期の若者や大人と話せるでしょう。あなたは名乗る必要もありません。それに、あなたは何の指図も受けないでしょう。
もし電話で話す気にはなれないのなら、文通相手をみつけたり、コンピュータの掲示板に参加することもできます。もしあなたが実際会って話したくないのなら、あなたは地元のグループや電話の話し相手を捜すことになります。その時はホットラインの人々やコンピュータの掲示板が役に立つはずです。コンタクトをとろうとする時は、優れた判断力を発揮することを忘れないで下さい。どのような(コミュニケーションの)手段であれ、人と話すことはとても助けになるでしょう。あなたは孤独ではないと強く実感するはずです。
カミングアウトする必要はあるのですか。
あなたがカミングアウトしたい場合にのみ、そしてカミングアウトする準備ができた時にのみ実行すればいいと思います。あなた自身が他の誰かに駆り立てられるようにしてカミングアウトするのは避けなければなりません。
あなた自身が同性愛者であることを言わない状態を、「押し入れ(クローゼット)にいる」(being in the closet)と呼びます。同性愛者であることを公言することは「カミングアウト」(coming out)と呼びます。あなたはあるひとりの人物に、或いは友人や家族にだけカミングアウトをできますし、知り合いの全員にもできます。誰にカミングアウトするかは、あなた次第なのです。
もしカミングアウトする準備ができていないのなら、する必要はありませんし、する理由もないのです。場合によっては、カミングアウトを避ける適切な理由もあります。カミングアウトには大きな危険が伴うのです。あなたが同性愛者であるだけで、あなた自身を受容しない人達はいるのです。酷いことをしたり、罵言を吐く人達もいるのです。それがあなたの両親かもしれません。友人かもしれません。同級生や先生、愛する人、経済的支援者、仲間、あなたを勇気づけてくれる人、いろいろお世話になっている人かもしれません。
しかしながら同時に、あなたが同性愛者であることを幾人かの人に知らせるもっともな理由もあるのです。あなたが自分自身の性的指向を言わないことによって、大切な人があなたの重要な部分を知ることができないでいるのです。「あなたがだれであるのか(=あなたが同性愛者であること)」を言わないことによって、あなたとその人の関係は本物にはならない状態が続くのです。これらの点を考慮した結果、多くの同性愛者は、自分自身が同性愛者であることを隠すことで生じた孤独や孤立は、カミングアウトに必要なあらゆる恐れよりはましだと思うようになったのです。
カミングアウトをするか、しないかを考える理由がどんなものであるにせよ、それはあなた自身の決定によるものなのです。他の誰の決定でもありません。あなた自身が他の人に惑わされることなく、責任を持って下す決定なのです。
他の人にカミングアウトする前に、まず初めにあなた自身が自分自身に対してカミングアウトする必要があります。それは「同性愛者であること」を知るだけではなく、「同性愛者であること」に心地よさを感じ、一人の人間として「あなたが誰であるのか」をはっきりと認識することなのです。
あなたが「同性愛者であること」を心に留めておくということは、あなたの様々な側面の中のひとつに気づくことなのです。「同性愛」というひとつの側面に気づいたあなたは、今までと変わらない同一人物なのです。あなたは自分自身をより多く知るだけなのです。多くの思春期の同性愛者が自分自身にこう言うようになりました。「私は同性愛者です。それでいいのです(I am gay and that's OK.)」と。
多くの人が同性愛を誤解しているため、あなたはカミングアウトをする前に、自分自身のために「同性愛者であること」について学びたいと思うかもしれません。もし誰かがあなたに(同性愛について)質問したり、あなたがその人の同性愛についての誤った知識を正したりすれば、きっとあなたは(同性愛についての)正しい事実を知ることに誇りを持つでしょう。このパンフレットの最後に紹介されている若者向けの同性愛に関する本を読むことや、他の同性愛者に電話をしたり、実際会って話すことはとても助けになるはずです。他の人の経験談を聞いたり、自分自身を表現することは、自分自身をより知ることに繋がりますし、同時にカミングアウトをする際に予期すべき事を知ることにもなるのです。あなたがカミングアウトする準備ができたことを、新しく知り合った同性愛者の友人に知らせれば、彼ら/彼女らはあなたを支えてくれるでしょう。
このような支援体制は、カミングアウトの際、とても重要なのです。あなたは自分自身を気にかけてくれる人や、傍にいてくれる人を求めるでしょう。あなたが必要とすれば、彼ら/彼女らはあなたの話し相手にもなれますし、あなたを抱きしめてもくれます(抱きしめる=ハグ )。さらにはあなたの居場所も提供してくれるのです。もしあなたにそのような大切な人々が未だにいないと感じた場合、近くの PFLAGの支部や、このパンフレットの最後で紹介されているほかの団体に電話してみてください。
誰に言うべきですか。
初めは、伝えたい人にだけ伝えればいいのです。
カミングアウトは、初めの一歩であって終わりではありません。あなたは先ず自分の家族に、次に友人にカミングアウトをするかもしれません。またはその逆に、先ず友人に、次に家族にカミングアウトするかもしれません。あなたは父親か母親の一方にだけ、あるいは兄弟(姉妹)のうちの一人にまずカミングアウトをし、後に残りの家族全員にするかもしれません。
あなたが一番初めにカミングアウトする人は、あなたが最も信頼する人でなければなりません。なぜなら、(あなたが望んでいることは)カミングアウトをした相手に傷つけられることではなくて、「あなたが誰であるか(=あなたが同性愛者であること)」を受け入れ、あなたのプライバシーを守り、あなたにとって知られたくない人に決して(あなたが同性愛者であることを)漏らさないことであるからです。
ある特定の人にカミングアウトをしたことで、あなた自身が失う可能性があるものを想像してみてください。もし両親にカミングアウトした場合、両親はあなたを勘当するかもしれません。或いは、友達付き合いを認めないかもしれません。友人にカミングアウトをした場合、彼ら/彼女らはあなたに距離を置き始めるかもしれません。或いは、学校であなたが同性愛者であることを言いふらすかもしれません。もしそのようなことが現実のものとなってしまったならば、あなたに何が起こるか想像してみてください。
同様に、ある特定の人にカミングアウトをしなかったことで、あなた自身が失う可能性があるものを想像してみてください。あなたが同性愛者であることを言わないことによって両親や友人との緊迫した関係が続くのかもしれません。もしあなたの両親や友人が、何故あなたが消極的な態度をとるのかを知れば、(あなたに理解を示し)彼ら/彼女らとの関係はより親しいものになり、あなたはより大きな支えに満たされるのかもしれません。
過去に、あなたが両親や友人と何について共鳴し、どのように彼ら/彼女らが振る舞ったのかを思い出してみてください。もしカミングアウトしたい人がいて、その人がどのような反応をするのか不明な場合は、まず探ってみてください。同性愛を扱った本や映画、テレビの話をしてみるのはいいと思います。その時は、「9. とても孤独に感じます。誰に話せばいいのでしょうか」で挙げた質問をしてみてください。
忘れて欲しくないことは、映画の中の同性愛者に対する反応と、同性愛者の娘や兄弟、友人に対する反応は違うかもしれないということです。そしてそれがあなたにとって都合のいいように作用する場合もあれば、悪いように作用する場合もあるのです。人々が仮想上の同性愛者や映画の中の同性愛者に対する反応は、実際身近に存在する同性愛者に対するそれより、偏見の度合いがひどい場合もあれば、軽い場合もあり得るのです。
例えば、ホモフォビア(同性愛嫌悪)は社会においてあまりに一般的で、未だに広く行き渡っているので、友人や親が深く考えることなしに、映画の中の同性愛者役をからかうかもしれません。或いはあなたも一緒にからかうだろうと思い、そうするのかもしれません。そのような彼ら、彼女らが、あなたのカミングアウトに対して、深い思いやりを示し、理解しようと努めるのかもしれません。それとは反対に、メディアに現れる同性愛者役に理解を示す親や友人が、親しい人がゲイだとわかった瞬間、拒絶反応を示すこともあるのです。
あなたが同性愛者だと知った時、人がどのような反応を示すかを見極めるには具体的で個人的な質問をしてみてください。そうすることによって彼ら/彼女らに同性愛について考えさせるのです。例えば、あなたには大学生の兄がいると言ってみてください。または軍隊に所属する兄弟がいると言ってもいいでしょう。そして次のような質問をして、相手の反応を見極めてください。「大学にある同性愛者のグループに関する本を読んでいるんだ」、「同性愛者の軍人(gays in the military)に関する本を読んでいるんだけど、もし君の兄や弟が家に帰ってきて、ゲイだとカミングアウトすれば、君は動揺するかい」。
両親にはどのように伝えればよいのですか。
万全な状態で、かつ慎重にカミングアウトしてください。
カミングアウトしてから両親との関係はとても親しくなった、と多くの思春期の同性愛者は証言しています。それは彼ら/彼女らが以前よりもより「ありのまま」でいられるからなのです。隠し事がもはやないと感じることで落ち着くことができたと彼ら/彼女らは言っています。
PFLAGは、ゲイの息子やレズビアンの娘を支えたいと願う両親や、平等の権利を求め子どもと共に活動したいと願う両親、息子や娘の恋人を家族の一員として歓んで迎え入れたいと願う両親達によって設立されました。
しかし、カミングアウトが常にこのようになるとは限りません。両親にカミングアウトした結果、勘当された若者もいます。同性愛者の子どもを虐待する親もいます。家族との関係が壊れ、決して元には戻らない場合もあります。
両親にカミングアウトする前に、熟慮すべき点がいくつがあります。
まず、同性愛者に対する両親の一般的な反応を考えてみてください。両親を観察したり、間接的な質問をして出来るだけ多くの反応を得られるようにしてください。あなたの両親には同性愛者の友人がいますか。あなたの両親は、同性愛関係が描かれている本や映画を見ますか。両親が信仰する宗教は同性愛を認めていますか。「同性愛者であることは、全く間違いではない」と両親が言うのを聞いたことがありますか。
次にあなたと両親の関係を考えてみてください。あなたが原因で両親が動揺している時でも、両親はあなたに対する愛情を持ち続けましたか。両親が嫌がることをした時でも、あなたの両親はあなたに対して誠実な態度を取り続けましたか。
準備に万全を期して下さい。もしあなたが家から出て行かなければならない状態に陥ったとすれば、泊まる場所はありますか。両親が経済的援助を打ち切ったとすれば、あなたが頼れる人はいますか。
もしこれらの全ての質問の答えが「いいえ」であるならば、あなた自身が居場所を確保し、自活できるまで、両親にカミングアウトするのは避けてください。自分が自立するまで待っていた方がきっと良い結果をもたらすことでしょう。或いは、両親が理解しないであろうという結論に達し、両親にはカミングアウトしないと決心する選択もあり得るのです。
もしこれらの全ての質問の答えが「はい」であるならば、両親にカミングアウトしても多分、大丈夫でしょう。
「はい」と「いいえ」のバランスを考慮しつつ、これらの質問に答えられるのはあなた一人だけなのです。自分の勇気を信じてください。両親にカミングアウトすることは、いつでも恐いことなのです。もしあなたがカミングアウトを恐れるのなら、その気持ちに注意を払ってください。すべての親が、同性愛者であるあなたを受け入れるとは限らないのです。
もし両親にカミングアウトすることが可能であり、またカミングアウトしたいと決断したのなら、両親にとっても、そして自分自身にとっても、どのようにしてカミングアウトが最もたやすくなるのかを考えて見てください。両親がどのように感じ、どのような質問をしてくるのかを考えてみてください。そうすることで、カミングアウトした際の対応を準備できるのです。地域にあるPFLAGの支部に電話をかけ、そこで活動している親達と話してください。カミングアウトの際にあなたの親がどのように反応するのか、について話せるでしょう。
あなたが自分自身に対して心地よく感じられる時に、両親と話すのは最も上手く行くでしょう。両親にカミングアウトすることは、あなた自身に多大な強さが必要とされます。もしあなたが混乱しているならば、両親の混乱はさらに増すでしょうし、カミングアウトしようとしたあなたの判断に不信を抱かせることでしょう。
両親が仕事や家族の心配事に心を奪われいている時ではなく、心に余裕がある時をよく選び、両親と話すのも最良でしょう。さもなければ、両親はあなたの問題に対処する時間がないと思い、一切関わらないようにするかもしれません。
あなたが同性愛者であることを、両親が受け入れるまでには時間がかかることを予め知っておいてください。これはあなた自身が同性愛者であることを受け入れるのに時間がかかったのと同じです。あなたの両親は一つ前の世代であることを心に留めておいてください。両親の世代はあなたの世代よりも同性愛に対する嫌悪をさらに大きく持っているのです。たとえあなたの両親が同性愛者を一般的に受け入れたとしても、あなたが同性愛者であることを知り、ショックを受けるかもしれないのです。両親は最初は信じたくないのかもしれません。あなたを「治療」しようと精神科医に診てもらいたいと欲するのかもしれません。
精神医学会や心理学会が、同性愛は完全に正常であると結論づける前までは、どのように同性愛者になるのか(=同性愛の原因)について、様々な理論が唱えられました。そしてそれらの理論は両親の行動と関連付けられていたのです。「あなたが同性愛者であることの原因は私達にある」とあなたの両親は悩むかもしれません。そしてあなたに対して「何らかの過ちを犯してしまったのではないか」と悩むかもしれないのです。そしてその悩みは、結果として怒りや弁明として現われる可能性があるのです。
「同性愛者である我が子は、私達の生き方を拒否したのではないか」、「私達が子どもに抱いた夢を何とかして打ち壊そうとしているのではないか」とあなたの両親は感じ得るのです。このような感情は、思春期の子どもを持った両親にしばしば付き纏うものです。思春期の子どもがより自立するにつれて、両親は子どもに抱いたイメージを捨てなければならないのです。しかしながら、同性愛者の子どもを持つ両親の場合、このような喪失感と拒絶反応は一層強まるのです。
たとえ両親がこのような喪失感や拒絶反応を抱かなかったとしても、「同性愛者であるあなたは危険な目に陥るのではないか」、「幸せな人生を送れるのだろうか」、「家族を持つことができるのであろうか」と様々に考え、十中八九、あなたを心配することでしょう。そうすることで、同性愛者であることを伝えたあなたのカミングアウトを無視したい、否定したいと両親が願わずにはいられなくなるのです。
あなたが同性愛者であることを、両親は自分の友人や親にどのように伝えればいいのか悩むかもしれません。それは両親自身のカミングアウトの過程の始まりと言えるでしょう。
あなたが為せる最善のことは、両親が誰に話してよいのかを、予め決めておくことか、提案することなのです。為すべきことをしっかりと為し、あなたが自分自身にさらに自信を持っているようであればあるほど、あなたが自分自信に対して責任を持つ準備ができたと両親に確信させることができるのです。そうすることで、あなたの両親はあなたにさほど心配せずに済むのです。
PFLAGは多くの点で役に立つことができます。あなた自身や両親に、お薦めの本やビデオ、情報を知らせることができます。また、同性愛者の子どもを持つ他の家族と交流できる機会を提供することもできます。或いは、あなたの両親が心の葛藤に上手く対処できるように手助けできるカウンセラーを紹介することもできます。
忘れて欲しくないことは、あなたは2人の両親に、同時にカミングアウトする必要はないのです。多くの思春期の同性愛者は、自分が同性愛者であることをより受け入れてくれるであろうと思う片方の親に、まずカミングアウトをしました。或いは、その親が同性愛者の本人にとって最も話しやすかったので、カミングアウトをしました。しかしながら、以下のことはしっかりと認識しておいてください。両親のうちの片方にだけ打ち明けることは、両親の間に亀裂を生じさせ、緊迫感をもたらす原因となるかもしれないのです。あなたから同性愛者だと打ち明けられていない方の親は、それを知った時、自分の存在を軽んじられたと感じ、傷つくかもしれません。一方、あなたから打ち明けられた方の親は、あなたの沈黙を説明する重荷を背負うことになるのです。あるいは、あなたが打ち明ける準備ができるまで、沈黙を保つ重荷を背負うことになるのです。もしあなたが一方の親にだけカミングアウトするつもであるならば、このことを徹底的に考え抜いてください。
最も重要なことは、話し相手が他にもいることを確かめることです。なぜなら、両親へのカミングアウトが比較的しやすい時でさえ、それは大変困難なことなのです。あなたを応援してくれる人が多ければ多いほど、よいのです。
異性愛者の友人を失うのですか?同性愛者の友人をどこで見つけるのですか。
あなたは異性愛者の友人を恐らく失わないでしょう。同性愛者の友人は、どこででも見つけられます。
多くの若者は、今となっては異性愛者の友人が更に増えたと言っています。彼ら/彼女らは異性愛者の友人に(同性愛者であることを)打ち明けているのです。カミングアウトして以来、(同性愛者の)彼ら/彼女らはさらに幸せになり、より大きな自信を持つようになったのです。あなたに隠し事が何もなく、自分自身に心地よさを感じている時は、さらに容易く人と親密な関係を築けるのです。
しかしながら、学校でカミングアウトしたことによって、恐ろしい体験をした若者もいます。とりわけ、多くの人々が根本主義(原理主義)の宗教を信仰している小さな町や田舎では、同性愛者に対する差別は未だに根強いのです。そして子どもはとても残酷になり得るのです。それがとりわけ、自分自身に自信が持てない子であったり、或いは、自分自身を確立しようと模索している場合には、残酷になりやすいのです。そのような子達はあなたに嫌がらせをし、あなたの人生を惨めにしようとします。そのような扱いを受けることが原因で、同性愛者の若者の退学率はとても高いのです。現在のところ、唯一、マサチューセッツ州だけが公立学校において、性的指向に基づいた差別を禁止する法を制定しています。
(参考)
根本主義(原理主義)…天地想像説など聖書の記述を正しいと信じ、進化論などを排斥する宗教
仮にあなたが友人にカミングアウトしたいのならば、あなたのプライバシーやあなたが打ち明けたことを尊重してくれる友人だけを信頼するようにしてください。たとえあなたを傷つけるつもりはないとしても、噂話を好む傾向のある友人は問題を引き起こす可能性があります。
一方、すぐにでもあなたの支えになりたいと願う友人もいるでしょう。(一般的には、女性に対しての方がカミングアウトしやすい、と男の子も女の子も口を揃えます。)友人の中の一人や二人は、あなたが同性愛者だと既に察しているのかもしれません。あなたには既に同性愛者の友人がいて、ただそれを知らなかっただけ、という場合もあります。
同性愛者であるあなたを受け入れるのに時間がかかる友人もいるかもしれません。あなたのカミングアウトを聞いて、(性的に)誘われていると怪訝(けげん)に思う友人もいるかもしれません。ですから場合によっては、カミングアウトは友人に不快感を与えてしまうのです。親友のあなたが同性愛者であることから、「自分も同性愛者なのではないか」と思う友人もいるかもしれません。あなたが両親に対して行ったように、それぞれの友人があなたのカミングアウトに対してどのように感じる傾向があるのか、そしてカミングアウトしたあなたは、以前と変わっていないと、どのように理解してもらうのかを考えてみてください。両親に対してもしたように、この小冊子の最後に掲載されている本のいくつかを友人に紹介することは、とても役立つでしょう。
カミングアウトの体験を同性愛者の友人に話すこともとても役立つでしょう。同性愛者の友人を新たに見つけることは、とても大切なことです。その友人達は、あなたが今後歩む道をはっきりと知っているのです。何故なら、彼ら・彼女らもそのような道を歩んできた、或いは、今現在、カミングアウト過程の真っ最中にいるからなのです。
同性愛者の若者のための団体は、はじめの一歩としてはとても良い場所でしょう。なぜなら、他の若者が同性愛者なのかどうかを知ろうとする必要がないからです。大抵の大都市には同性愛者の若者のための団体があり、その団体であなたは仲間と容易く出会うことができるでしょう。体験や支えを共有し、あなた自身のことをもっと知ろうとする新しい友人をあなたはきっと見つけられるでしょう。
もしあなたが小さな町、或いは田舎にいるのならば、このような団体を見つけることはさらに大変なことかもしれません。このような場合、この小冊子の最後に掲載されている文通プログラムやコンピューターの掲示板を利用することによって、仲間と出会うことができます。また資料集には、例えばアフリカ系やアラブ系、アジア系、ラテン系アメリカ人の同性愛者団体、身体障害を持つ同性愛者の支援グループといった具合に、特定の団体が掲載されているので、それらの団体を見つける際にはとても役立つでしょう。
思い出して欲しいことは、たとえもしあなたが学校で唯一の同性愛者に違いないと思えても、あなただけではないのです。同性愛者は総人口の10%ほどはいるのです。あなたの学校にも、あなた以外の同性愛者はいるのです。あなたは既にその人達を知っているのかもしれません。ただ、彼ら/彼女らが同性愛者であることをあなたが知らないだけなのです。或いは、まだ出会っていないだけのことかもしれません。同性愛者の人々は、時々、「ゲイダー (gaydar)」を持っていると冗談を言います。「ゲイダー」とは、「レーダー (radar)」の一種で、同性愛者を言い当てられるという意味で使われます。彼ら・彼女らが完全にはカミングアウトしていないならば、彼ら/彼女らが同性愛者であることを知ろうとすることは、仮に誰かがあなたに興味を抱いた場合、あなた自身がどのように対処するのかを知ろうとするようなものなのです。時には自分が同性愛者であることを伝えることができ、時にはできないのです。経験を積むと、誰が同性愛者であるのかがわかる場合もあり、自分が同性愛者であることを伝えるかどうかの判断も的確に下せるようになるでしょう。
(参考)
ゲイダー=「ゲイ」+「レーダー」を合成した造語です。
自分の家族を持てるのですか。
あなたは自分の家族を持てます。
多くの同性愛者が結婚式を挙げ、お互いの誓いを祝い、家族や友人との関係を共有しています。これらの儀式(結婚式)を行なったり、立ち会ったりする宗教はほんの2、3しかありませんし、州当局に至っては全く皆無ですが、このような事態に変化の兆しが見え始めています。 IBM やアメリカン・エキスプレスは、同性愛者のパートナーを結婚したカップルと同等に扱い、同性愛者の従業員のパートナーにも健康保険を適用しています。このような企業はさらに増えているのです。クリントン政権において同性愛者のパートナーは認知されたため、行政では「本人及び配偶者」の代わりに、「あなたと重要な他者 (you and your significant other)」という表現を用いています。
(参考)
significant other [社会学]
親や仲間のように行動や自尊心に大きな影響を及ぼす人物。
子どもを育てている同性愛者のカップルも数多く存在します。妊娠するために人工授精を受けたレズビアンもいます。異性愛関係に身を置いた後カミングアウトをし、同性愛者のパートナーとともに子どもを育てている同性愛者のカップルもいます。社会の受け止め方が変わり続けるにつれて、同性愛者のカップルが子ども持つことも、より一般的になるでしょう。6州で同性愛者のカップルが子どもを持つことが認められています。
そして多くの同性愛者が友人や地域のゲイ・コミュニティーを「家族」として捉えています。大抵の都市では緊密に結びついた大きなゲイ・コミュニティーがあります。そこで、自分の家族に対して期待するような愛や支えを、あなたは得られるのです。
終わりに
明らかなことは、この小冊子ではすべての質問や答えを網羅することはできないことです。しかし、この小冊子があなたの出発点になることを願っています。自分の性的指向に思考を巡らす時、孤独になる必要はありません。あなたがこれからも情報を得て、答えを見つけ、そして友人と出会う場所を、最後にある資料は提示するでしょう。
私たちがあなたに送る最良の助言は、「自分らしくあること」だときっとあなたにわかっていただけるでしょう。もしあなたがゲイ、或いはレズビアン、バイセクシュアルであるならば、あなたにはカミングアウトを具体化し、定義し、あなた自身がカミングアウトを自分独自のものにする力があることをあなたはすぐに知るでしょう。カミングアウトによって、今まで直面したことのない疑問や状況にあなたは立たされる一方で、同時にこの発見の旅には素敵な喜びがあることも知るでしょう。
この旅には、時には勇気が必要かもしれません。最後に、フレッド・スモールの歌「Everything Possible」の詞で、私たちの問答集を終えたいと思います。あなたがこの小冊子とフレッド・スモールの詞に立ち返り、安らぎと励ましを得られます様に。
Everything Possible
by Fred Small
テーブルを片付け 残った食材を保存する
食器を洗い 片付ける
ある話を君に伝え 君を強く抱きしめる
どたばたした1日の終わりに
君を眠りにつかせるために 月が出帆する
真夜中の海に向かって
誰も歌わなかった歌を 僕は君に歌うだろう
どうか良き間柄でいられますように
君は なりたい人間になれるんだよ
愛したい人を 誰でも愛せるんだよ
心が赴くままに どこでも旅することができるんだよ
そして僕が愛しつづけるのを 君は実感する
君は一人でも生きられる 友人に囲まれても生きられる
特別な人を選ぶこともできる
君の言葉や行動が評価される唯一の基準は
君が亡くなった時 君がこの世に残した愛だろう
強く大胆に育つ少女もいる
物静かで優しい少年もいる
先を急ぐ人もいれば 後に続く人もいる
自分なりの方法と速さで進む人もいる
女性を愛する女性もいる 男性を愛する男性もいる
子どもを育てる人もいれば 子どもを持たない人もいる
終焉を決して迎えることのない夢を ずっと君は見つづけられる
すべてが可能である終焉に
悪口や嘲り、からかいに不安にならないで
真の魂を探し出してごらん
君の最もよいところを与えると
友人も君に同じものを返してくれる
君は なりたい人間になれるんだよ
愛したい人を 誰でも愛せるんだよ
心が赴くままに どこでも旅することができるんだよ
そして僕が愛しつづけるのを 君は実感する
君は一人でも生きられる 友人に囲まれても生きられる
特別な人を選ぶこともできる
君の言葉や行動が評価される唯一の基準は
君が亡くなった時 君がこの世に残した愛だろう
Words and music by Fred Small. c Copyright 1983 Pine Barrens Music (BMI). From the album, Everything Possible: Fred Small in Concert (Flying Fish #625). Available from Small Potatoes at (800) 788-6043
資料
Resources for GLBT Youth
Youth Pages of Affirmation: Gay & Lesbian Mormons
Youth Resources
Books for gay, lesbian and bisexual teens
If you cannot locate a book at a local library or bookstore, most can be ordered through Lambda Rising Bookstore, 1625 Connecticut Ave., NW, Washington, DC 20009, 1-800-621-6969.
Am I Blue? Coming Out from the Silence, Marion Dane Bauer, editor.
Harper Collins, 1994.
Annie On My Mind, Nancy Garden, FS&G, 1992. Fiction.
Children of Horizons: How Gay and Lesbian Teens are Leading a New
Way Out, Gilbert Herdt and Andrew Boxer, Beacon Press, 1993.
Coming Out to Parents, Mary Borhek, Pilgrim Press, 1993.
Gay Men and Women Who Enriched the World, Thomas Cowan.
William Mulvey, Inc., New Canaan, Connecticut, 1988.
Growing Up Gay: A Literary Anthology, Bennett L. Singer, editor. The
New Press, 1993.
One Teenager in Ten: Writings by Gay and Lesbian Youth, Ann Heron, editor.
Warner Books, 1986.
Oranges Are Not the Only Fruit, Jeanette Winterson. Atlantic Monthly Press,
1987. Fiction.
Peter, Kate Walker. Houghton Mifflin, 1993. Fiction.
Two Teenagers in Twenty, Ann Heron, editor. Alyson Publications, 1994.
Understanding Sexual Identity: A Book for Gay and Lesbian Teens, Janice
Rench. Lerner, 1990.
When Someone You Know Is Gay, Susan and Daniel Cohen. Dell, 1989.
Young, Gay and Proud, Sasha Alyson, editor. Alyson Publications, 1985.
Websites and books for your parents, friends, and family
Are You Still My Mother?, Gloria Guss Back. Warner Books, 1985.
Beyond Acceptance, Carolyn Griffin and Marian and Arthur Wirth.
Prentice-Hall, 1986.
Bridges of Respect Creating Support for Lesbian and Gay Youth, Katherine
Whitlock. American Friends Service Committee, 1989.
Different Daughters: A Book by Mothers of Lesbians, Louise Rafkin. Cleis
Press, 1987.
The Family Heart: A Memoir of When Our Son Came Out, Robb Forman
Dew. Addison-Wesley, 1994.
Is it a Choice? Answers to 300 of the Most Frequently Asked Questions About
Gays and Lesbians, Eric Marcus. Harper Collins, 1993.
The New Loving Someone Gay, Don Clark, Ph.D. Signet Books, 1987.
Now That You Know: What Every Parent Should Know About Homosexuality,
Betty Fairchild and Nancy Hayward. Harcourt Brace Javanovich, 1989.
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